窓の防音リフォームで静かな暮らしを実現｜効果・方法・費用をわかりやすく解説

「外の車の音や近隣の生活音が気になる」と感じている方へ。

騒音は集中力の低下や睡眠の質の悪化など、生活のストレスや健康にも影響を及ぼします。

窓は外部からの音だけでなく、室内の声や生活音が漏れやすい開口部でもあり、プライバシー確保の点でも対策が必要です。

こうした騒音の悩みを解決する有効な手段が「窓の防音リフォーム」です。

適切な施工を行うことで、静かで快適な住環境を実現できるだけでなく、断熱性の向上や結露の抑制といった効果も期待できます。

この記事では、窓の防音効果を高める具体的な方法や費用の目安、補助金制度などをわかりやすく解説します。

窓の防音リフォームを行うメリット

窓は住まいの中でも音の出入りが多い開口部です。

窓の防音リフォームを行うことで、以下のようなメリットが得られます。

・外部騒音（車・電車・工事音）を抑え、室内の静けさを確保できる。
・断熱性が高まり、冷暖房効率の向上につながる。
・結露の発生を抑制でき、カビやダニのリスクを下げられる。
・会話やテレビの音が外へ漏れにくくなり、プライバシー保護にもつながる。
・在宅ワークや学習の集中が続きやすくなり、暮らしの快適性が高まる。

特に効果が高いのは、内窓の設置と合わせガラスの併用です。

サッシの気密を整えると、すき間音も減少します。

さらに、二重窓や厚みのある窓ガラスは防犯対策にも有効です。

窓の防音リフォームの方法は次章で詳しく解説します。

窓のすき間による音漏れが気になる方は、こちらの記事も参考にしてください。

〈関連記事〉窓の隙間を埋めるには｜対策やリフォーム方法まとめ

窓の防音リフォームの主な方法

防音対策ができる窓のリフォーム方法を詳しく見てみましょう。

内窓（二重サッシ）の設置リフォーム

既存の窓ガラスの内側にもう一枚、内窓を追加する方法です。

室内側と屋外側の間に空気層が生まれ、遮音と気密が同時に高まります。

外からの騒音だけでなく、室内の音漏れ対策にも有効です。

断熱性の向上により結露の抑制や光熱費の削減も期待できます。

1〜2窓なら半日程度で施工が完了するケースが多く、寝室や在宅ワーク部屋の改善に適しています。

開閉がやや重く感じることもあるため、日常の使い勝手を踏まえて引き違い・開きの仕様を選びましょう。

防音ガラスへの交換リフォーム

既存サッシを生かし、ガラスだけを防音性能の高いものへ交換する方法です。

中間膜を挟んだ合わせガラスは会話音やテレビ音など中〜高音域に強く、複層ガラスは空気層の厚みやスペーサーの工夫で遮音・断熱の両面を向上できます。

枠の気密が不足していると効果が頭打ちになるため、戸車の調整や戸当たり・モヘアの見直しも同時に行うと相乗効果が生まれます。

短時間の施工で住みながら進めやすい点がメリットです。

複層ガラスの断熱性能に加えて、ガラスとガラスの間の空気層を真空にした「スペーシア」については、こちらの記事でご確認ください。

サッシ交換リフォーム

窓の防音ではサッシ対策も重要です。

枠の歪みやガタつき、すき間風が目立つ場合は、サッシ自体を高気密タイプに交換するのがおすすめです。

ただし、サッシ自体の交換は外壁の切断を伴い、工事期間が2〜3日かかるうえ、費用も上がる傾向があります。

外壁を大きく壊さないカバー工法なら、仕上がりがきれいで、工期も比較的短くできます。

その分、費用は増えやすいため、劣化が進んだ窓や性能を一気に引き上げたい場面に検討しましょう。

自分で行う防音対策

費用を抑えつつできる対策として、厚地カーテンや多層レースの活用、窓用フィルムの貼り付けなどがあります。

これらは貼付作業が比較的簡単で、飛散防止や日射遮蔽といった効果も得られるのが特徴です。

ただし、これらだけでは防音対策として万全とはいえないので、内窓や防音ガラスと組み合わせて活用するのがおすすめです。

防音性能の目安｜遮音等級（T値）とは

遮音等級「T値」は、窓やサッシ・遮音ドアの防音性能を示す日本工業規格（JIS）による評価指標です。

T値の数値が大きいほど遮音性能が高く、一般にはT-1〜T-4までの等級で分類されています。

騒音の体感目安（dB）

まず、一般的な騒音の目安は以下のとおりです。

・30〜40dB：静かな室内・図書館レベル。
・40〜50dB：静か〜普通の室内。うるさいとは感じないが、夜間は気になりやすい
・50〜60dB：日中の会話や軽い交通の音が気になるレベル
・60〜70dB：車の往来・店内の会話など、うるさいと感じる人が増える。
・70〜80dB超：街頭の騒音、工事音など。かなりうるさいと感じる。

体感音量は、10dB低減でおよそ半分になります。

一方で、低音の連続音と打撃音では、同じ低減量でも体感に差が出ます。

遮音等級（T値）の見方

T値の具体的な目安（遮音性能）は以下のとおりです。

等級	目安の遮音量	主な用途・構造例
T-1	約25dB低減	単板ガラスサッシ生活道路沿い、近隣の話し声が気になる環境
T-2	約30dB低減	防音サッシ（強化/複層/合わせガラス）交通量がやや多い道路沿い、テレビ音対策向き
T-3	約35dB低減	防音合わせガラス・高性能サッシ幹線道路・鉄道沿線、工事音対策向き
T¥4	約40dB低減	二重サッシ・特別防音仕様騒音が強い立地（幹線至近・踏切付近など）向き

〈参照〉YKKAPウェブサイト

※「dB低減」とは、外部騒音が室内に伝わる時の遮音効果の目安です。たとえばT-2なら外部80dBが室内50dBに抑えられるイメージです。

※数値は目安です。周波数帯（低音か高音か）、窓サイズ、サッシの気密、周辺の壁・換気口の状態で体感は変わります。

遮音性を高めたい場合は、内窓や合わせガラスの導入、サッシ気密の強化が有効です。

目標（例：夜間は40dB台）との差分から、必要なT等級・工法（内窓、合わせガラスなど）を決めましょう。

窓の防音リフォームにかかる費用相場

窓の防音リフォーム費用は、工事の方法や窓サイズ・性能によって大きく変わります。

主な相場は以下のとおりです。

リフォーム内容	費用目安（1か所あたり）
内窓（二重窓）の設置	3万円〜10万円程度
防音ガラス（合わせガラス等）交換	5〜15万円程度
カバー工法（サッシごと交換）	15〜30万円程度

※上記はあくまでも目安です。

高性能な防音タイプや特注品、施工場所の数が多い場合など高額になることもあります。

また、製品の性能や現場条件によって価格が変動しますので、必ず現地調査・見積もりを依頼するのがおすすめです。