【玄関ドアの断熱性能】等級の見方を解説│k2？k4？何のこと？
新築やリフォームで玄関ドアのカタログを見ていると、断熱性能についての記述があることに気が付きます。必要そうなことが書かれていることは分かる一方で、内容の理解までには至らないのではないでしょうか。
そこで本記事では、玄関ドアの断熱性能を示す数値や記述について、分かりやすく解説します。
「どの玄関ドアにしたらよいのか」と悩んでいる人は、重要な断熱性能のことを学べるので、ぜひ最後まで見てみてくださいね。
目次
【玄関ドア】断熱性能の重要性
初めに、玄関ドアの断熱性能が重要である理由を解説します。玄関ドアを断熱性能の高い商品に交換することで、どんなメリットが得られるのでしょうか。
冬暖かく、夏涼しい住宅の第一歩
1つ目のメリットは、玄関や続くリビングが「夏涼しく、冬暖かい空間に」なることです。
玄関の断熱性能が低ければ、外の気温がダイレクトに室内に伝わってしまいます。すると玄関だけでなく、続く廊下やリビングなど他の室内空間にも熱気・冷気が伝わります。断熱性能を向上させることで、快適な室内環境を手に入れられるでしょう。
温熱環境が整えられれば、冷暖房費を削減できる効果も期待できます。近年電気代の高騰が進む中で、エアコンを始めとする冷暖房機器の稼働率を下げられれば、家計の負担を減らすことにも繋がります。
＞関連記事：玄関断熱で寒い冬も怖くない│玄関断熱のメリットや種類を紹介
結露がなくなり、衛生的な室内環境に
2つ目のメリットは、玄関ドアが高い断熱性を持つことで「結露がなくなり、衛生的な室内環境になること」です。
断熱性能が低いと、室内外の温度差が原因で玄関ドア本体に結露水が付着することがあります。度々付着してしまうとカビ・ダニなどの温床となってしまい、衛生的に問題が生じてしまいます。
玄関ドアの断熱性能を向上させることで結露の発生を防ぎ、衛生的な室内環境が手に入れられるでしょう。
【玄関ドア】断熱性能等級の見方
具体的に、玄関ドアの断熱性能等級の見方を解説していきます。
玄関ドアの断熱性能を示す「熱貫流率 U値」
玄関ドアの断熱性能は「熱貫流率（U値）」で示されます。さらに熱貫流率は熱抵抗値で表され、熱抵抗値は厚さと熱伝導率で表現されます。
難しく聞こえますが、単純に言い直すと「熱を通しにくい素材であればあるほど、素材が厚ければ厚いほど、熱が伝わりづらい玄関ドアになる」という当たり前のことを言っています。
ただし、玄関ドアを極端に厚くするのは不可能ですので、実質「玄関ドアの素材と構造をいかに熱が伝わりにくいものにするか」で玄関ドアの性能は変わります。
このU値が1.0を切ると極端に性能の高い玄関ドアといえ、日本で一般的に普及している玄関ドアのU値は2.0～3.0程度です。
熱貫流率 U値は何で変わるの？
U値が低いほど高性能であることは分かりました。続いて、どうして高低が生まれるのか確認しましょう。U値の差を生み出しているのは「玄関ドアの素材と構造」であることは先述しました。
日本では玄関ドアに主にアルミが使われますが、アルミは非常に熱伝導率が高く、たとえば木の1750倍も熱を伝えやすい性質を持ちます。こうした熱の伝わりやすさによって、熱貫流率U値は変わります。
主素材のほか、装飾のために使われるガラスや、ドアを支える枠の材質や構造でも、U値は変化します。
「D2・D4」「k2・k4」ってあるけど…何？
玄関ドアのカタログを見ていると「D2仕様」や「k4仕様」などと記載があります。一体何を示しているのでしょうか。
実は、これらの記号は、玄関ドアの主要メーカーであるYKKとLIXILがそれぞれ独自で断熱仕様を記号で表しているのです。「D2・D4」はYKKが、「k2・k4」はLIXILが、断熱性能を表すときに使用します。
たとえば、LIXILの玄関ドアである「リシェント」のカタログでは、次のような資料が準備されています。
断熱性能を持っていない「アルミ仕様」、温暖な地域で利用されることの多い「k4仕様」、寒冷な地域で利用されることの多い「k2」仕様、そしてk2にもk4にも属さない特に寒い地域での利用が勧められる「高断熱仕様」と分かれています。なお、YKKでもほとんど同等の基準が定められています。
アルミ仕様では、そもそも断熱材が入っていないので、外部の冷気は室内にそのまま透過します。このため「断熱性能なし」です。
次にk4仕様は、40mmの断熱材が入り、ガラス入りデザインの場合は複層ガラスにグレードアップします。さらにk2仕様になると、ドアを支える枠に「断熱枠」が追加され、ガラスも冷気を反射するLow-eガラスを使用しています。最後に高断熱仕様になると、枠部分に断熱部材が追加され、断熱材の厚みが60mmに、複層ガラスの内側には熱を通しにくいアルゴンガスを封入しています。
このように、仕様が上がるにつれて断熱材の厚みや断熱枠の追加など断熱性能の向上が図られ、快適な玄関・室内空間が作られるのです。
ちなみに温暖な地域で、高断熱仕様やk2仕様を利用しても意味がないかと問われることがありますが、意味はあります。外気温と室内の気温差がある限り、断熱性能は高いほうが室内環境が快適になります。予算が許すなら、温暖な地域でも高性能な玄関ドアを利用することをおすすめします。
なお、地域ごとの地形特性から、日本は地域が8つに分けられています。この地域差を参考に、LIXILではおすすめの仕様図を作っています。玄関ドアの断熱性能に迷ったときは参考にしてみましょう。
玄関ドアで気密性能も変わるの？
玄関ドアを選ぶとき、気になるのは断熱性の他に「気密性」です。玄関ドアによって気密性は変わるので、気密性能も考えながら選択すると満足度が高くなるでしょう。
気密性能が低いと…
気密性能が低いと、どんなに玄関ドアの断熱性能が高くても「冷たい空気が室内に侵入」してしまいます。分かりやすく言うと「隙間風」が感じられるようになります。
特に、他の窓の気密性が高い場合は、換気扇が室内の空気を外に追い出す分だけ、玄関ドアの隙間から新鮮で冷たい空気が取り込まれることになります。当然結露の発生にもつながりやすいので、避けたい事態です。
＞関連記事：【玄関ドアの隙間】隙間風や虫の侵入のお悩み解決！原因は？対策は？
「ドア」は「引き戸」より気密性能が高い
気密性能を高める観点では、「引き戸より”ドア”」を選択する方が望ましいでしょう。
引き戸は扉を左右にスライドさせることで開閉する機構ですが、いくら配慮しても隙間が生じてしまいます。一方でドアタイプの場合は、ゴムパッキンに扉を押し付けるように閉めるので、一般的には気密性は高くなります。
ただし、引き戸には引き戸のメリットもあるので、総合的に判断する必要があります。
「古い玄関ドア」はもっと気密性能が低い
なお、近年の引き戸は気密性に配慮されているので、一定度の気密性が期待できます。そして引き戸よりも気密性能の低下を気にするべきなのは「古い玄関ドア」です。
古い玄関ドアはゴムパッキンの劣化が見られ、商品によってはパッキンが入っていない場合があります。経年劣化で枠に歪みが生じていることもあり、隙間風が入り放題のケースも。
「玄関ドアも古くなった」と感じたら、気密性能のことも気にして、扉の枠に隙間がないか確認してみましょう。
まとめ│断熱・気密性能も気にして玄関ドアを選択しよう
玄関ドアの断熱性能について、等級の見方を主に解説しました。「k2・k4」「D2・D4」といった表示は各社の断熱性能の高さを示していて、数字が低くなるほど高性能・寒冷地仕様です。
これから玄関ドアのリフォームを検討している人は、断熱性能にも注目して選ぶようにしてみましょう。
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