玄関ドアのサイズについて考える

玄関ドアをリフォームする上で、「どのサイズの玄関ドアを選んだら良いの?」と迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。

実際に各メーカーから発売されている玄関ドアもサイズは様々あり、どのサイズの玄関ドアを選べば良いかは自分たちで決めなければなりません。

基本的に玄関ドアを交換する場合は、今の玄関ドアと同じサイズを選ぶのが普通です。ただ、「もう少し大きくしたい」「外観に合わせて少しコンパクトにしたい」という方も多いと思います。

そこで、今回は玄関ドアのサイズについて歴史から紐解き考えてみましょう。

玄関ドアのサイズの歴史

ドアの歴史は古く、世界最古は実はよく分かってません。ただし、紀元前2000年から4000年の間にあったとされるエジプト文明で鍵が見つかっています。鍵があったということはドアもおそらくあったということ。そんな昔からドアは存在するのです。

日本では弥生時代(紀元前1000年〜350年)の遺跡でドアが見つかっており、少なくとも弥生時代からはドアがあったことが分かっています。そのドアは61cm×48cmで厚さ4cmの木製でした。かなり小さいサイズのドアだったのです。

その後はお寺や城跡に行っても分かるように引き戸形式のドアが主に使われるようになります。明治時代から大正時代にかけて、洋風建築が日本に入ってくると現在のドアノブ形式のドアや鍵付きドアが普及し始めて現代の形にだんだんと近づいていきます。

そして戦後、高度経済成長期時代から玄関ドアはほとんど今と同じ形になり、ドアのサイズもだんだんと変化していくのです。

昔の玄関ドアは低い?

( 施工前 )

昔ながらの家に行ったことある方や住んでいる方は感じると思いますが、昔の家はドアが低く作られているものが圧倒的に多いです。

実は、日本では180cmという高さの玄関ドアが高度経済成長期まで主流でした。これは襖の大きさに合わせていたため。襖は五七、五八と呼ばれる五尺七寸(173cm)、五尺八寸(176cm)の大きさや180cm前後のサイズが主流です。家の構造もそれに合わせて作られていたため、玄関ドアも180cm前後の大きさが多かったのです。

高度経済成長期から玄関ドアのサイズは大きく変わります。これは日本人の平均身長がだんだんと高くなっていったことに加えて、戸建て住宅自体が和室中心ではなく、洋室中心になるに従って高くなっていったことに大きく影響があるのです。

LIXILでは

1967年からアルミサッシの一貫生産を開始。

1971年には180cm〜190cmの高さのサイズが主流だった時に200cmサイズのドアを発売。

1975年には240cmサイズのドアの発売を開始。

とだんだんと大きなサイズの玄関ドアを発売しているのです。また、厚さに関しても1994年に60mmのドアを発売開始と大きく、分厚くしてきているのが玄関ドアのサイズの歴史となります。

引用:https://www.biz-lixil.com/column/technology_design/door/history.html

玄関ドアの幅に関しては逆に引き戸から片開きドアなどが主流になる中で玄関サイズ自体は狭くなっています。これはマンションやアパートの普及や戸建ても高さを出すことで、家の敷地面積自体はだんだんと狭くなっていることが影響されているでしょう。

現在の玄関ドアのサイズ

( 施工後 )

では、現在の玄関ドアのサイズはどのようになっているのでしょうか。

玄関ドアの高さ

 

玄関ドアの高さについては200cm〜240cmサイズが主流となっています。日本人の高身長化や見た目としても高いドアの方が高級感が出るので大きめのサイズが人気となっています。また、玄関ドアにランマをつけるとその分玄関ドアの開口部の高さは低くなります。

玄関ドアの幅

( 施工前 )

玄関ドアの幅に関して780mm〜1690mmまでとかなり差が出てきます。これは片開きドアから両開きドア、引き戸まで様々な種類のドアがあるからです。両開きドアだとやはり幅は格段に広く取ることになります。また、袖付きの場合はランマと同じように玄関ドアの開口部自体は狭く取ることになります。

玄関ドアの厚さ

玄関ドアの厚さは60mm程度を最大として各種取り揃えられています。玄関ドアの厚さは断熱性能に関わってきます。分厚ければ分厚いほど外からの空気を遮断するので玄関ドアの断熱性が高いと言えるのです。

玄関ドアのサイズの選び方

( 施工前 )

玄関ドアのサイズがわかってきたところで、いよいよ自分の家の玄関ドアのサイズを選ぶことになります。サイズはどのように決めれば良いのでしょうか?

基本的には玄関ドアのサイズは今と同じものにすると良いでしょう。理由としては現在、玄関ドアの交換工事の主流となっているカバー工法にあります。カバー工法とは既存の玄関ドアの枠組みを活かして玄関ドアのみを交換するという工法を取ります。

今までと同じ玄関ドアサイズであれば、交換に手間もかからないので、工期も早く、工事料金も抑えることができるのです。

ただし、「玄関ドアのサイズを変更したい」という方もいれば「ベストなサイズを知りたい」という方もいると思います。ここからは日本の現代の主流のサイズをご紹介していきます。

玄関ドアの高さ

玄関ドアの高さは一般的には「身長+30cm」以上あれば快適に使用できるとされています。現代の玄関ドアサイズは200cm〜240cmなので、170cm前後の身長の方ならどのサイズでも不便なく使用することが出来るでしょう。

ただし、見た目的にはやはり高ければ高い方が高級感を出すことができます。ドアのデザインにもよりますが、現在の流行としては230cm前後の背の高いドアなのです。

玄関ドアの幅

玄関ドアの幅に関しては、ドア自体の幅よりも開口部の広さが重要になります。人が出入りするには60cmがあれば最低限良いとされていますが、実際には80cm以上ないと狭く感じるでしょう。現代の玄関ドアの幅の主流も80cm〜となっています。

もう一つ、考えなければならないのは車椅子を使用するかどうかです。今は車椅子を使用していなくても将来使用するかもしれないことを考えると広く取りたいところです。車椅子は手動式が63cm、電動式が70cmとサイズが決まっているので、80cm以上の開口部がないと出入りは厳しいでしょう。ただ、80cmでも相当ギリギリなので出来ればもっと広く取るか親子ドアや両開きドアを採用したいところです。

また、見た目としても玄関ドアの幅が広い方が高級感を出すことができます。袖付きを選ぶなど予算内で工夫してドアのサイズを考えてみてください。

玄関ドアのサイズを変更するには?

( 安全確認写真 )

玄関ドアは基本的には今までのドアと同じサイズが良いとお伝えしましたが、もちろんサイズを変更することもできます。玄関ドアのサイズを1mm変えたからといってカバー工法が使用できなくなる訳ではありません。

ただし、玄関ドアのサイズを大きくしようとしても、開口部が取れる大きさは家ごとに決まってきます。このようにサイズがどの程度取れるのか、カバー工法を使えるのかどうかは素人にはわからないので、玄関ドアのリフォーム業者に確認してみると良いでしょう。

また、現代では玄関ドアは高さも幅もサイズを大きくするのが流行なのですが、必ずしもドアのサイズを大きくすれば全て良い訳ではありません。家が狭小住宅なのにドアだけ大きいとデザインとしては浮いてしまう結果になってしまいます。

家とのバランスを考えた上で、玄関ドアのサイズを選んでみると良いと思います。

まとめ

玄関ドアのサイズについてご紹介してきました。

現代は玄関ドアの種類はもちろんですが、サイズも様々なサイズのドアが発売されています。種類や色やサイズなど自由に選べるからこそ自分の家とのバランスや将来のライフスタイルを考えた上で、サイズも気にしながら玄関ドアを選んでみてください。